昆虫食事典

日本の昆虫食文化の最重要文献を初めて現代語訳化しました!

『昆虫食のすすめ ~現代語訳 食用・薬用昆虫に関する調査 大正8年~』(三宅恒方 著 松井 崇 訳)と題して、Amazonで電子書籍版を販売中です。後日、紙の本でも販売予定です。

本書は都道府県ごとに食用昆虫と薬用昆虫が纏められているので、この本が皆様の地元の食文化や日本の伝統文化を知るきっかけにもなれば幸いです。

日本は「昆虫食先進国」です。本書は大正8年当時の全国の約55種類の食用昆虫と約123種類の薬用昆虫(漢方)掲載されています。本書が示すように、日本は「昆虫食先進国」であり、全国各地で様々な昆虫が食用と漢方として使われてきました。

昆虫食は温故知新のプロテインです。
未来の昆虫食のヒントは、日本のかつての昆虫食文化の中にあると思います。

昆虫食事典は、『昆虫食のすすめ』から一部(全体の約1/6~1/7の分量)を抜粋したものです。
本書はこの他にも、薬用昆虫の項目や全国各地の昆虫食の方言を纏めた項目など盛り沢山ですので、
続きは本書でお楽しみ下さい。

昆虫食のすすめ: 現代語訳 食用及薬用昆虫に関する調査

※都道府県の掲載順番は、原文のママ。

昆虫食事典

北海道

1 つちすがり  
【方 言】はちのこ
【調理法】米に混ぜて調味料を加え、普通の肉飯のように調理する。これを蜂の子飯という。
【産 地】札幌付近

東京都

1 いなご  
【方 言】いなご  
【調理法】煎って、または煮て食べる。  
【産 地】都内一円

京都府

1 蝗(いなご)
【方 言】けら(丹後地方)とび(葛野(かどの)郡(現京都市の一部)地方)
【調理法】そのまま焼いて食べる。串に刺して、醤油等で味付けをしてから焼いて食べる(葛野郡地方)。または飴煮にする。

【産 地】府下一円

2 蜂の幼虫
【調理法】土器、金網等で炙って、そのまま食べる。

【産 地】府下一円

3 家蚕(かさん)さなぎ)




【方 言】
蛹、すた

【調理法】色々に調理して食べる。

4 田鼈(たがめ)の卵
【調理法】串に刺して、火で炙って食べる(与謝(よさ)郡(現宮津市の辺り))。

【産 地】府下一円

大阪府

 該当なし。

神奈川県

1 蝗(いなご)
【方 言】いなご
【調理法】付け焼きにして、または煎り付けて食べる。
【産 地】県下一般

2 赤蜂の幼虫
【調理法】付け焼きにして、または煎り付けて食べる。
【産 地】山間部の一部

兵庫県

1 いなご
【調理法】採集したいなごの幼虫・成虫を火で炙り、醤油等に浸して食べる。
【産 地】県下一般
【付 記】食用のほか家畜、家禽(かきん)(6)の飼料とすることもある。

長崎県

1 はねながいなご

2 こばねいなご
【方 言】いなご、ぎめ、たか
【調理法】串刺しにして醤油を付け、炙って食べる。
【産 地】県内全般

3 あしながばちの幼虫 および蛹
【方 言】はちのこ、けんばちの子、あしさげばちの子
【調理法】油で揚げる。または醤油で付け焼きにする。
【産 地】県内全般
【付 記】1~3のいずれも薬用に利用する地域があるが、多くは食用にする。

新潟県

1 蝗(いなご)
【方 言】いなご、いなむし
【調理法】捕獲したものに熱湯を注いで(捕獲する時に多くが布袋の中に入るので、このまま熱湯に浸す方法を取ることが多い)殺し、(はね)および脚を取り去り、醤油、砂糖醤油または味醂醤油等を用いて弱火で煎り付けたり、佃煮のようにしたり、または串に刺して付け焼き(てりやき)のようにしたりして食べる。
【産 地】野外全般
【付 記】食用にすることは極めて少なく、多くは家禽(かきん)(6)に与える。南魚沼郡では、近頃は食用にする者がいなくなったという。

2 えんまこおろぎ
【方 言】こおろぎ
【調理法】蝗に同じ。
【産 地】畑地
【付 記】この虫を食用にするのは北魚沼郡(現小千谷市・魚沼市の辺り)の一部だけである。

3 家蚕かさん)(さなぎ)




【方 言】
かいこ、ぼこさま(幼虫)、かいこのみご(蛹)
【調理法】新鮮なものを洗浄し、焼き醤油(7)で味を付けて食べる。
【産 地】各地
【付 記】この虫を食べるのは東蒲原(ひがしかんばら)郡の一部のみ

4 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)類の幼虫
【方 言】鉄砲虫、すびむし(佐渡(さど)郡(現佐渡市))
【調理法】新鮮なものを洗浄し、焼き醤油で味を付けて食べる。
【産 地】各地
【付 記】北蒲原(きたかんばら)郡、中魚沼郡の一部のみ

埼玉県

1 いなご
【方 言】いなご、なご、ないご
【調理法】捕獲後に1日または2日間布袋に入れておき、糞を全部排出させた後、熱湯に浸して殺したものを日干しにする(日干し後に貯蔵することもできる)。そうして、(はね)、脚等を除いて鍋に入れ、炭火で炙って、あまり焦げない程度に香味が良くなってきたら、醤油を加えて味を付けて食べる。砂糖で和える場合には、冷ました後に粘り気や湿り気が出ない程度に和えて食べる。また、湯に浸した後に食塩で味付けして干すこともある。
【産 地】県下一般の水田地
【付 記】北葛飾(きたかつしか)郡の早稲(わせ)地では、東京への乾燥物の出荷量が多い。ばったも、いなごと同様に食べられるようである。

2 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)の幼虫
【方 言】てっぽうむし
【調理法】幼虫を串に刺して直接炭火で焼き、飴色が出てきたら醤油で味を付けて、冷めないうちに食べる。
【産 地】山間地方で桑の木の高刈りを行う地域
【付 記】山間部の桑の木は多くが高刈りのため、幼虫が食い入っているものが多く、また山林樹木の楢、櫟等にも多くの幼虫が食い入っているので、児童らが、排出された糞から生息場所を発見し、釘のようなものでかき出して捕獲する。採集に適した時期は6月下旬で、それ以降になると幼虫がだんだん木の中心に食い入ってしまい、捕獲が容易ではない。

3 きまだらこうもりがの幼虫
【方 言】くさぎのむし
【調理法】天牛の幼虫に同じ。
【産 地】原野、荒地等の野生木である臭木(くさぎ)に食い入っているものを捕獲する。
【付 記】この幼虫を調理したものを食べると、(かん)(10)に効果があると言う者もいる。

4 すずめばち
【方 言】くまんばち、おおぐまん
【調理法】幼虫を巣から取り出して鍋に入れ、炭火で焼いてかき混ぜながら、色が褐色となる頃を目安に醤油または味噌を塗って、温いうちに食べれば美味である。また、佃煮にして食べることもできる。
【産 地】特に多い地域はないが山間部はやや多い。

5 あしながはち
【方 言】あしつるし
【調理法】すずめばちに同じ。

6 とんぼの幼虫
【方 言】たいこむし
【調理法】夏から秋の頃に淡水に生息しているものを鰕(さんしょううお)(※15)等と同時に捕獲し、そのまま煮て、食塩または醤油で味を付けて食べる。
【産 地】一般に、小さな堀などの流水に多い。
※15 現在ではまれだが、古くは各地で食べられていた。

7 家蚕(かさん)(さなぎ)および蛾)
【方 言】さなぎ(蛹)、ちょう(蛾)、おちょう、ひいる
【調理法】蛹は水洗いして鍋で焼き、醤油で味を付けて食べ、あるいは佃煮にする。蛾は尿を排出させた後、(ふるい)に入れ、手で強くかきまわして鱗毛(りんもう)を除く。それを水洗いした後は、鍋に入れて焼き、焦げ臭くならない程度で醤油または食塩を加え、体の水分が乾くのを目安として食べる。
【産 地】養蚕の行われる地域でも山間地方に多い。

群馬県

1 きまだらこうもりがの幼虫
【方 言】くさぎのむし
【調理法】幼虫を割り串に刺し、遠火で体がやや赤味を帯びるまで焼き、味噌もしくは醤油を付けて食べる。油気があって美味である。

2 いなご
【方 言】いなご
【調理法】成虫を採集して熱で殺し、天日に干してよく体を乾燥・硬化させた後、醤油と砂糖で甘辛く煮て食べる。また、成虫を竹串に刺して火で焼くか、または、焙烙(ほうろく)(12)で煎り、醤油か味噌を付けて食べれば美味である。また、辛子漬けにしてもよい。

3 いらむし
【方 言】ひょろひょろ、とげむし、すずめのかいご
【調理法】繭を破って(さなぎ)もしくは幼虫を出し、焙烙のようなものの上で食塩を混ぜ、煎って食べる。

4 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)
【方 言】かみきり、けきり、鉄砲虫
【調理法】幼虫を割り串に刺し、遠火で体がやや赤味を帯びて少し硬くなるまで焼き、味噌もしくは醤油を付けて食べる。その他、桑天牛(くわかみきり)の幼虫も食べられる。

5 蜂類(蜜蜂科、胡蜂(すずめばち、こほう)科、地蜂科)の幼虫
【調理法】幼虫は、焙烙のようなものの上で食塩を混ぜて煎るか、または鍋で醤油、砂糖を加えたものを煮詰めて食べれば美味である。

千葉県

1 いなご
【調理法】鍋で煎って砂糖、醤油で味付けして、または串に挟んで焼いて食べる。

2 えびづるの虫
【調理法】いなごに同じ。

3 いぼたの虫
【調理法】いなごに同じ。

4 たがめの卵塊
【方 言】なあご
【調理法】焼いて食べる。

5 げんごろう
【方 言】くうたむし
【調理法】尻の端を除去し、串焼きにして醤油を付けて食べる。

茨城県

1 いなご
【方 言】はねこ、はねのむしなこ
【調理法】成虫を袋に入れ、1日または2日間放置して脱糞させた後、熱湯で殺す。(はね)および脚を除いて鍋で焼き、砂糖、醤油で味付けをする。また、熱で殺した後、乾燥して貯蔵用にする。
【産 地】県下一般の稲田
【付 記】貯蔵しておき、鶏の餌にすることもある。

栃木県

1 いなご
【方 言】いなご、いなむし
【調理法】10月上旬から11月中旬ぐらいまでに捕まえて来たものを、そのまま袋内に丸1日置いて糞尿を出させた後、熱湯に入れて殺し、(ざる)のようなのものに入れて水気を取ったら、日当たりが良い場所に広げて十分に乾燥させる。その後、(はね)、脚を取り去ったものを鍋に入れ、醤油を適度に注いでよく煮詰めた後、かき混ぜながら煎り付けて食べる。または、さらに砂糖で味付けをするものもある。
【産 地】県下一円
【付 記】宇都宮において乾燥いなごが、翅、脚のあるもので1升(13)15銭(14)、翅、脚のないもので1升23銭で販売されている(大正6年)。

2 蜂類の幼虫および(さなぎ)





【調理法】
煮付けて、または煎って食べる。煎り付けたものをご飯に混ぜ、蜂飯にする者もいる(那須郡(なすぐん)の一部)。蜂飯には主としてすずめばち、地蜂を使う。
【産 地】県下一円
【付 記】使用する蜂類は、すずめばち、地蜂、足長蜂である。

3 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)の幼虫
【方 言】ささきり
【調理法】竹串に刺し、焼いて食べる。
【産 地】県下一円
【付 記】天牛の種類は、やまかみきり、くわかみきり、しろすじかみきり等である。

4 大麻螟虫(たいまのずいむし、たいまのめいちゅう)
【方 言】大麻のずいむし
【調理法】煎って食べる。
【産 地】上都賀郡(かみつがぐん)(現鹿沼市・日光市の辺り)、安蘇郡(あそぐん)(現佐野市の辺り)

奈良県

1 (いなご)










【方 言】
いなご
【調理法】佃煮にして、または焼いて食べる。フライ、麺類の味付けにも使える。
【産 地】県内一般

2 どばち
【方 言】つちばち
【調理法】幼虫を佃煮にして、または焼いて食べる。
【産 地】主として山間部

3 あしながはち
【調理法】幼虫を佃煮にして、または焼いて食べる。
【産 地】主として山間部

4 くまばち
【方 言】てんどりばち
【調理法】佃煮にして、または焼いて食べる。
【産 地】主として山間部

5 みつばち
【調理法】幼虫を佃煮にして、または焼いて食べる。

6 諸種のかみきりむし
【方 言】毛きりむしの子、てっぽうむし
【調理法】幼虫を佃煮にして、または焼いて食べる。
【産 地】主として山間部
【付 記】くさぎ、柳、榎(えのき)、櫟(いちい)(※16)、椢(くぬぎ)、葡萄(ぶどう)野葡萄(のぶどう)に寄生する。
※16 櫟も椢もどちらも「くぬぎ」と読めるが、櫟と椢は文脈上、別の種であるため、櫟を「イチイ」とした。

7 蚕の(さなぎ)


【方 言】
東むけ西むけ、にしどっち
【調理法】佃煮にして、または焼いて食べる。また、そのまま食べる。

三重県

1 いなご
【方 言】いなご、がたぎ
【調理法】成虫を醤油で付け焼きにして食べる。
【付 記】頻繁に食べる者もいる。

2 胡蜂(すずめばち、こほう)科の幼虫
【方 言】やまばち
【調理法】胡蜂類の幼虫をいなごと同様に調理して食べる。
【付 記】まれだが、食べる者はいる。

3 家蚕(かさん)


【方 言】
さなぎ
【調理法】(さなぎ)は胡蜂科の幼虫と同様に調理して食べる。
【付 記】まれに食べる者がいる。

愛知県

1 (いなご)

【方 言】
いなご、かった
【調理法】捕獲後に丸1日放置して脱糞させた後、熱湯で茹でる。(はね)および脚を取り除いて醤油で煮付け、また焼いて食べる。
【産 地】全県下で採れ、各地域とも少しずつ食べられている。

2 蚕の(さなぎ)

【方 言】
かいこのどち
【調理法】醤油で煎り付けて食べる。
【産 地】全県下で採れ、知多郡、宝飯郡(ほいぐん)(現豊川市・蒲郡市の辺り)、渥美郡(あつみぐん)(現田原市・豊橋市の辺り)、幡豆郡(はずぐん)(現西尾市の辺り)等で食べられている。

3 蜂の幼虫
【方 言】地蜂(へぼ)
【調理法】火で炙り、醤油または味噌を付けて食べる。
【産 地】主として東加茂郡(ひがしかもぐん)(現豊田市の辺り)

静岡県

1 いなご
【方 言】いなんご、いなご
【調理法】山梨県および長野県に送って食用に供されているものなので調理法は不詳。また、甲府辺りでは祝儀用に使われるという。
【産 地】県下焼津地方(※17)
【付 記】成虫を干したものは、本年は1升(13)8銭(14)ぐらいの価格である(大正7年)。送り先は主に甲府。
※17 原文は志太郡焼津地方。町村が残っている郡は住所表記として通用している場合が多いが、志太郡内の町村は全て市制に移行。

2 蜂の子
【方 言】脚長蜂、地蜂の子(幼虫、(さなぎ))
【調理法】醤油で炙って食べる。
【産 地】県下各地
【付 記】子供のおやつにする。

3 蚕の蛹
【方 言】どっちにしゃー
【調理法】糸を取った後、すぐに食べる。
【産 地】県下各地
【付 記】以前は子供らが食べたが、現在はあまり食べない。

4 たがめの卵塊
【方 言】いなごの卵、たがめの卵塊
【調理法】火で炙って食べる。
【産 地】遠江国(とおとうみのくに)(現静岡県の西部)西部
【付 記】以前はいなごの卵と呼んで食べたが、今はたがめの卵であることが知られるようになり、あまり食べない。

山梨県

1 いなご

2 はねながいなご
【方 言】いなご
【調理法】熱湯で殺して乾燥しておき、醤油で煮て食べる。
【産 地】県下一円
【付 記】本県では乾物商店で販売している。

3 じばち

4 やまばち、その他
【方 言】へぼ
【調理法】(うじ)および(さなぎ)化したものを煮て食べる。
【産 地】県下一円
【付 記】じばちは群れが大きいので、山間の村落では好んで食べられる。

5 げんごろう
【方 言】げんごろう
【調理法】油で煎って食べる。
【産 地】県下一円
【付 記】わずかに食べられている。

6 とのさまばった
【方 言】ばった
【調理法】1、2に同じ。
【産 地】県下一円
【付 記】食べることは多くはない。

7 しょうりょうばった
【方 言】げんじょ
【調理法】1、2に同じ。
【産 地】県下一円
【付 記】1、2に同じ。

8 おんぶばった
【方 言】おかんのし
【調理法】1、2に同じ。
【産 地】県下一円
【付 記】1、2に同じ。

9 みつばち
【方 言】みつばち
【調理法】幼虫および蛹を煮て食べる。
【産 地】西八代(にしやつしろ)
【付 記】食べることは多くはない。

10 かみきりの幼虫
【方 言】てっぽうむし
【調理法】焼いて食べる。
【産 地】東山梨郡(現山梨市・甲州市の辺り)
【付 記】食べることは少ない。

滋賀県

1 蜂の幼虫
【方 言】はちのこ
【調理法】醤油で煮付けて食べる。
【産 地】県内

2 いなご
【方 言】いなご
【調理法】醤油で付け焼きにして、あるいは醤油と砂糖で煮付けて食べる。
【産 地】県内

3 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)の幼虫
【方 言】てっぽうむし
【調理法】醤油で付け焼きにして食べる。
【産 地】県内

岐阜県

1 地蜂(じばち)
【方 言】じばち
【調理法】各地とも簡単なものは生のまま食べ、あるいは醤油を付けて焼き、またあるいは炙って食べる。また、東濃(とうのう)地方では、甘煮にして鮨の粉(すしのこ)(いわゆる香辛料)とし、あるいはご飯に混ぜて重宝し、来客に提供する。そうして、東濃の可児郡(かにぐん)兼山町(現可児市の飛び地)、伏見町(現御嵩町の西部)等では、缶詰として販売されているという。当該地方では成虫、幼虫、(さなぎ)のいずれも食べるが、一般には幼虫か蛹である。そして、材料は自然のものを捕まえるだけである。

2 いなご
【方 言】いなご
【調理法】醤油で塩辛く煎り付け、あるいは砂糖または飴で煎り付け、茶菓子にする。東濃地方では、これを1合あるいは1袋いくらとして売る者がいるという。

3 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)の幼虫
【方 言】ごとむし(東濃地方)
【調理法】どの種類の天牛でも食べる。串に刺して焼く。その味はとても香ばしいという。

4 げんごろう
【方 言】げんごろう
【調理法】醤油を付けて焼く。

5 蚕蛹(さんよう)
【調理法】醤油で塩辛く煮付けて食べる。近年は産卵後の蛾も同様に食べるという。

長野県

1 かいこ
【方 言】かいこ
【調理法】十分に成熟した幼虫、蛹、または(はね)を取って水で揉み、鱗片(11)を取り除いた成虫を鍋に入れ、塩を振りかけて炙って食べる。膿病(のうびょう)(16)に犯された幼虫は、絹糸腺(けんしせん)(17)が発育不良となるので特に美味であるという。県下一般に食べられる。

2 すずめが類
【調理法】成虫を捕まえ、蚕蛾と同様に調理して食べる。県下南佐久(みなみさく)郡で食べられる。

3 地蜂
【方 言】どばち
【調理法】巣を見付けて幼虫を捕まえ、多少成虫を混ぜて砂糖煮にするか、あるいは蜂の子飯を炊く。風味がとても良いという。上伊那(かみいな)郡、下伊那(しもいな)郡では缶詰にして他県に出荷するものもある。その他、蜂類の幼虫は県下一般に食用にされるが、足長蜂の幼虫は有毒であると言われ、食べない者もいる。
【産 地】上、下伊那郡、南佐久郡、北佐久(きたさく)郡地方で豊富である。

4 かまきりの成虫および幼虫
【方 言】でんぽ

5 くさぎのしんくいがの幼虫

6 しょうりょうばった、その他ばった類の成虫および幼虫

7 かみきりむし類の幼虫

8 げんごろうの成虫

9 がむしの成虫

10 とんぼ類の成虫、幼虫

11 いなご類の成虫および幼虫

12 こおろぎ類の成虫および幼虫

13 せみ類
【調理法】いずれも串刺しにし、あるいは鉄器または土器で焼き、塩または醤油を付けて再び加熱していわゆる付け焼きにする場合と、砂糖醤油で煮付けるものがある。時々、酢に浸し、あるいは油で煎って食べる者もいる。県下一般に食べられる。
【産 地】県下一般

14 かわげら類の幼虫
【方 言】があむし(南安曇郡(みなみあずみぐん)(現松本市・安曇野市の辺り)、東筑摩郡(ひがしちくまぐん)地方)
【調理法】煮て食べると味が特に良く、松本市辺りで高級料理に使う者がいるという。
【産 地】犀川で採れる。
【付 記】百足(むかで)のような体で体長は7、8分(18)。実物標本に接していないので断言できないが、かわげら類の幼虫であろうと推定する。

15 ぎな
【方 言】ぎな
【調理法】焼いて食べる。
【産 地】南安曇郡

16 こむそ
【方 言】こむそ
【調理法】焼いて食べる。

17 とうくら
【方 言】とうくら
【調理法】焼いて食べる。
【産 地】伊那郡

福島県

1 いなご
【方 言】いなご
【調理法】熱湯に入れて殺し、(はね)および脚等を取り除いて、醤油および砂糖で煮付けて食べる。
【産 地】県下一般
【付 記】県下至るところで捕まえて食べる。10月下旬頃から捕獲し始める。1升(13)10銭(14)程度で売買されているところでは、小学校の児童に採集させ、その売上金を集めて、教授器具または運動器具の購入に充てる者がいるという。

2 竜蝨(げんごろう)
【方 言】がむし、源五郎虫、ひゃっか
【調理法】両翅(りょうばね)および四肢(※18)を除いて、串に刺して焼き、醤油類を付けて食べる。また、鍋で煎って食べる。
【産 地】県下各地のため池、河や用水路および湿地
【付 記】多くは児童の薬であると言い、薬用に利用される。
※18 昆虫の足は当然6本。昆虫のすべての足という意味。

3 蜻蛉(とんぼ)の幼虫
【方 言】とんぼむし、やご、たいこむし
【調理法】(えび)などと混ぜ、鍋で煎って食べる。
【産 地】竜蝨に同じ。

4 蜉蝣(かげろう、ふゆう)の幼虫
【方 言】ざざむし、ざーむし
【調理法】鍋で煎って食べる。
【産 地】竜蝨に同じ。
【付 記】脂肪が多く、地方の人の好みに合う。
※この「ざざむし」は、現在の長野県伊那地域で食されている「ざざ虫(主にトビゲラ、カワゲラ、ヘビトンボの幼虫)」とは別の種と考えられる。村上哲生氏・矢口愛氏(2009)によると『伊那地方でのヒゲナガカワトビケラ食が一般的になったのは三宅の調査と久内の報告の間の1930年代頃からであり、それ以前からの、恐らく極限定された範囲での食習慣であったカワゲラ食を指す「ザザムシ」の名称が新しいヒゲナガカワトビケラ食の習慣にそのまま引き継がれたものと考えられる』

5 てつなぎむし
【方 言】てつなぎむし、かわむし、川虫
【調理法】鍋で煎って食べる。
【産 地】耶麻郡(やまぐん)、大沼郡地方の水田
【付 記】食用にするものは幼虫であり、3月の中、下旬頃に水田で採集するという。

6 蟋蟀(こおろぎ)
【方 言】ころころむし
【調理法】竜蝨に同じ。
【産 地】県下各地
【付 記】食用にするのは成虫、幼虫であり、捕獲は初秋から晩秋までとされる。耶麻郡地方で食べられるという。

7 べこむし
【方 言】べこむし、ぞうむし、なんばんむし
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】耶麻郡地方
【付 記】食用にするのは成虫であり、捕獲期はいなごに同じ。

岩手県

1 いなご
【方 言】はったぎ
【調理法】成虫を食べる。まず捕まえた成虫をそのまま鍋に入れて蓋をし、徐々に火を焚いて脱糞させ(脱糞させる方法として、いなごを布袋ごと熱湯に入れるか、あるいは丸1日放置してもよい)た後、水で洗い、汚物を取り除く。それを鍋に入れて、酒、醤油、砂糖等で味を付け、丁寧に煎り上げ、いわゆる佃煮にして食べる。なお、出来上がったものをさらにごま油で煎り上げれば、一層美味である。
【産 地】県内一円であるが、これを食べるのは主として都市部付近であるとされる。

2 げんごろうむし
【方 言】ひらか
【調理法】捕まえた成虫を1日または2日間、清水中でエサを与えずに放置すれば内容物を排泄するので、この間に2、3回水を交換する。そうして、後翅(うしろばね)および脚を除いて串に刺し、徐々に焼く。赤褐色となった頃を見計い、醤油を付けて焼くこと2、3回で食べる。これもごま油等で煎り上げれば、さらに美味である。

3 がむし
【方 言】がむし、かめむし
【調理法】げんごろうむしに同じ。

4 あさむし
【方 言】あさむしの幼虫も食用にすることがある。

5 土蜂
【方 言】はなすい
【付 記】幼虫を食べる地域がある。

青森県

1 いなご
【方 言】とらぼ
【調理法】田んぼで採集し、容器に入れて数時間置いて糞を排出させた後、砂糖または醤油で煎り上げ、食べる。
【産 地】県下の田んぼ

山形県

1 いなご
【方 言】いなご
【調理法】砂糖醤油で煎る。
【産 地】県下

2 がむし
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】県下

3 こおろぎ
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】置賜(おきたま、おいたま)地方

4 蜂の幼虫
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】置賜地方

5 とんぼの幼虫
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】置賜地方

6 栗の鉄砲虫
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】置賜地方

7 蚕蛹(さんよう)


【方 言】
まいみ
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】置賜地方

8 せみ
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】村山地方

秋田県

1 いなご
【方 言】いなご、はったぎ
【調理法】生きたまま熱湯に入れて脱糞させ、蒸し殺した後、少し乾かし、醤油および砂糖を入れて煎り上げる。これが上等の調理法であるという。
【産 地】県内一円

2 竜蝨(げんごろう)
【方 言】ひらかむし、がむし
【調理法】生きたまま熱湯に入れて殺し、熱湯を流し捨てた後、食塩を加えて再び煮て食べる。食用の際は(はね)および脚を除去するものとされる。また、翅および脚を除去した後、焼き醤油(7)を付けて食べることもある。
【産 地】県内一円の沼およびため池等に生息するが、食用にするのは平鹿郡(ひらかぐん)(現横手市の辺り)、仙北郡、南秋田郡であるとされる。

3 蜻蛉(とんぼ)の幼虫
【方 言】蜻蛉虫たまご
【調理法】幼虫を砂糖醤油で煎り上げて食べる。
【産 地】県内一円に生息するが、食用にするのは仙北郡であるとされる。

4 蚕蛹(さんよう)


【方 言】
さなぎ
【調理法】(さなぎ)を焼き、醤油または砂糖醤油で煎り上げて食べる。あるいは、汁物の味付けにも使用する。
【産 地】養蚕地で生産されるが、食用にするのは主として河辺郡(現秋田市の辺り)であるとされる。

福井県

1 いなご
【調理法】焼いて醤油漬けにして食べる。または、袋に入れ、湯に浸して排泄物を出させ、醤油と砂糖で煎り付けて食べる。
【産 地】県下各地に生息し、一般に多少は食用にされるが、今立郡(いまだてぐん)遠敷郡(おにゅうぐん)(現小浜市の辺り)地方ではやや多いようである。
【付 記】年により、京阪地方の商人の注文に応じて、採集日に干して出荷することがある。

2 蚕の(さなぎ)

【方 言】
蚕の蛹
【調理法】煎って食べる。
【産 地】養蚕の副産物で、主として今立郡地方において食べられるようである。

石川県

1 いなご
【調理法】煮て、または焼いて食べる。
【産 地】県内一般
【付 記】食べる者はわずかである。

2 蚕蛹(さんよう) 
【方 言】かいこのひょろ
【調理法】いなごに同じ。
【産 地】県内一般
【付 記】いなごに同じ。

3 蜂類の幼虫
【方 言】蜂の子
【調理法】生のまま、または焼いて食べる。
【産 地】県内一般
【付 記】いなごに同じ。

富山県

該当なし。

鳥取県

1 はねながいなご
【方 言】いなご
【調理法】煎って、または焼いて醤油を付けて食べる。
【産 地】県下全部
【付 記】普通にあるものだが、食用にする場合は比較的少量である。

2 蚕蛾の(さなぎ)


【調理法】
煎って醤油を付けて食べる。
【産 地】県下全部
【付 記】食用にする場合は比較的少量である。

3 あしながばちの幼虫
【方 言】あかにかの幼虫
【調理法】煎ってご飯に炊き混ぜて食べる。
【産 地】県下全部

4 こくまばちの幼虫
【方 言】くろにかの幼虫
【調理法】煎ってご飯に炊き混ぜて食べる。
【産 地】県下全部

島根県

1 いなご
【方 言】えなんご、いなんご
【調理法】秋期に成虫となったものを採集し、熱湯で2、3分間茹でた後、(ざる)に揚げ、砂糖醤油を加えて煮て食べる。または、竹串に刺して火で炙り、砂糖醤油を付けて食べる。あるいは、天ぷらにして食べる。
【産 地】県下全部

2 蚕蛹(さんよう)
【調理法】(さなぎ)を鍋に入れて酒と水を加え、煮て軟らかくした後、醤油を加え、さらに煮て食べる。
【産 地】県下の一部

3 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)の幼虫
【方 言】栗の虫、柳の虫
【調理法】竹串に刺して火で炙り、醤油を付けて食べる。
【産 地】県下の山間部

4 蜂の幼虫
【方 言】蜂子
【調理法】幼虫を巣から取り出して鍋で煎り、砂糖醤油を加えて食べる。また、ご飯に混ぜて食べる者もいる。
【産 地】県下の山間部
【付 記】きばち、あしながばち、どばちを主とする。

岡山県

1 いなご
【方 言】いねきりご、いなご
【調理法】採集後に熱湯を注ぎ、乾燥したもの、あるいはそのまま串に刺したものを醤油、あるいは砂糖醤油で付け焼きにするか、または煮付けにして食べるのが普通とされる。
【産 地】県下一般
【付 記】秋期に、産卵のために(けい)(はん) (19)に集まる時季、すなわち9月下旬から11月下旬頃まで採集される。

2 蜂の幼虫
【方 言】はちのこ、はちのうじ
【調理法】生のまま、あるいは串に刺して醤油で付け焼きにして食べる。または、醤油だけで、あるいは醤油、砂糖、味醂等で煮付けて食べる。
【産 地】県下一般
【付 記】家屋の周囲、軒下、木の間、土中等に作られた巣に対して、まず様々な方法で蜂を駆逐した後、幼虫を採集するものとされる。

3 (さん)(よう)
【方 言】かいこのびび、さなぎ
【調理法】醤油砂糖で煮付けにして食べる。これに味醂を加えれば、なお良い。
【産 地】県下の中部および以北

4 たがめの卵
【方 言】たまご、(ひゃく)(なり)


【調理法】
焼いて、醤油を付けて食べる。
【産 地】川上郡(現高梁市の辺り)、後月郡(しつきぐん)(現井原市の辺り)地方

5 まだらこうもりがの幼虫
【方 言】(きり)の虫、桐のどうむし
【調理法】幼虫を醤油で付け焼きにして食べる。
【産 地】後月郡地方
【付 記】主として冬期の食物であるとされる。

6 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)
【方 言】(まき)のどうむし
【産 地】後月郡地方
【付 記】主として冬期の食物であるとされる。

広島県

1 (いなご)

【方 言】
きりご
【調理法】蒸し殺して貯蔵し、必要に応じて醤油で付け焼きにして食べる。丁寧に調理する者は脚を取り除くものとされる。
【産 地】甲奴郡(こうぬぐん)(現三次市の辺り)、佐伯郡(現広島市・廿日市市の辺り)、神石郡(じんせきぐん)世羅郡(せらぐん)芦品郡(あしなぐん)(現福山市・府中市の辺り)、比婆郡(ひばぐん)(現庄原市の辺り)、賀茂郡(かもぐん)(現竹原市・東広島市の辺り)地方

2 蜂の幼虫
【方 言】はちの子
【調理法】すり潰して白木綿(しろもめん)(20)でこし、水、醤油を加えて煮て食べる。
【産 地】佐伯郡、神石郡、世羅郡、芦品郡、安芸郡(あきぐん)地方

3 蚕蛹(さんよう)
【方 言】さなぎ
【調理法】鍋に入れ、油で煎り上げ、醤油、味醂を加える。
【産 地】神石郡、世羅郡、芦品郡、賀茂郡、安芸郡地方

山口県

1 野蜂
【方 言】のばち
【調理法】幼虫を煮て、または炙って食べる。
【産 地】県下各地

2 蜜蜂
【方 言】蜜蜂
【調理法】蜜を生食する。
【産 地】県下各地

3 無花果(いちじく)天牛(かみきり)

【方 言】
無花果の天牛
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

4 臭木(くさぎ)の天牛
【方 言】くさぎなの天牛
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

5 (しい)(かし)類の天牛
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

6 (きり)の天牛
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

7 松の天牛
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

8 さるとりいぎの天牛
【方 言】さるとりいぎの天牛
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

9 栗のしぎぞうむし
【調理法】幼虫を炙って食べる。
【産 地】県下各地

10 (いなご)

【調理法】
炙って、または佃煮にして食べる。
【産 地】県下各地

11 蚕蛹(さんよう)
【調理法】炙って、または佃煮にして食べる。
【産 地】県下各地

12 螟虫(ずいむし、めいちゅう)
【調理法】幼虫を炙って、または佃煮にして食べる。
【産 地】県下各地

和歌山県

1 はねながいなご
【方 言】いなご
【調理法】竹串に刺して焼き、醤油に浸して、または醤油で付け焼きにして食べる。
【産 地】県下一般の米作地および山野
【付 記】主として小児に与えるもので、常食とする者はほとんどいない。

2 蚕蛹(さんよう)
【方 言】かいこ
【調理法】醤油で付け焼きにして食べる。
【産 地】県下一般
【付 記】副食にする者がいる。

徳島県

1 いなご
【方 言】はたた、はたと
【調理法】醤油で付け焼きにして食べる。
【産 地】那賀郡(なかぐん)麻植郡(おえぐん)(現吉野川市の辺り)、三好郡、名西郡(みょうざいぐん)、徳島市
【付 記】香味があり、小児は好んで食べる。

香川県

該当なし。

愛媛県

1 (いなご)

【方 言】
いなご、いなだか
【調理法】炙って醤油を付け、または付け焼きにする。
【産 地】上浮穴郡(かみうけなぐん)、西宇和郡、北宇和郡、喜多郡、周桑郡(しゅうそうぐん)(現西条市の辺り)、新居郡(にいぐん)(現新居浜市の辺り)、宇摩郡(現四国中央市の辺り)地方

2 蜂
【調理法】炙って醤油で付け焼きにする。
【産 地】上浮穴郡、西宇和郡、喜多郡、宇摩郡地方

3 きばち
【方 言】あざばちの幼虫
【調理法】食塩を振りかけ、焙烙(ほうろく)(12)で炙る。
【産 地】北宇和郡地方

4 あしながばち、じがばちの幼虫
【調理法】幼虫を鶏卵と一緒に煮る。
【産 地】新居郡地方

5 蚕蛹(さんよう)
【調理法】まれに油で煎る。
【産 地】北宇和郡地方

6 天牛(かみきりむし、てんぎゅう)

7 木蠹蛾(ぼくとうが)

8 蝙蝠蛾(こうもりが)


【方 言】
てっぽうむし
【調理法】幼虫を付け焼きにする。
【産 地】喜多郡地方
【付 記】主として柳、さるとりばら、くさぎ等に食い入っているものを食べる。

高知県

1 蚕蛹(さんよう)


【方 言】
ずしや
【調理法】醤油を塗って焼き、または醤油で煮て食べる。
【付 記】身分の低い者や貧しい者が食べるだけである。

福岡県

1 いなご
【方 言】ぎめ
【調理法】串に刺して醤油に浸し、火で炙って食べる。
【産 地】県下一般

2 くまばちの幼虫
【調理法】火で炙って食べる。
【産 地】県下一般

3 じばちの幼虫
【調理法】火で炙って食べる。
【産 地】県下一般

大分県

1 いなご
【方 言】いなご
【調理法】成虫を串に刺し、火で炙って食べる。
【産 地】県下一般

2 すずめばち
【方 言】くまばち
【調理法】幼虫を煮て食べる。
【産 地】県下一般

3 蚕
【方 言】
【調理法】(さなぎ)を煮て食べる。
【産 地】養蚕地
【付 記】製糸の際、新鮮なものを選んで食べる。

熊本県

1 はねながいなご
【方 言】ぎめ
【調理法】火で炙り、醤油を塗って食べる。
【産 地】県下一般
【付 記】ぎめの食用はきわめてまれで、蜂の(うじ)のように食べることはあるが、それが特にどの地域なのかは示すのが難しい。

宮崎県

1 すずめばち
【方 言】くまばち
【調理法】煮て、または炙って食べる。
【産 地】県下一円

2 あしながばち
【方 言】あしさげばち
【調理法】炙って食べる。
【産 地】県下一円

3 地蜂
【方 言】こまばち、あなばち
【調理法】炙って食べる。
【産 地】県下一円
【付 記】土中もしくは樹木の空洞等に生息する。形は蜜蜂よりやや小さく、群れで生活している。

4 いなご
【方 言】ぎめ
【調理法】炙って、または佃煮にして食べるが、一般に食用に利用することはない。
【産 地】県下一円

5 家蚕(かさん)
【方 言】
【調理法】蚕蛹(さんよう)(15)を炙って食べる者がいるが、きわめてまれである。
【産 地】県下一円

6 さるもどし
【方 言】さるもどし
【調理法】炙って食べる。
【産 地】児湯郡(こゆぐん)

鹿児島県

1 いなご
【方 言】いなご
【調理法】捕獲したいなごを丸1日ぐらい置き、十分に脱糞させた後、鍋に入れて醤油と砂糖で味を付け、焦げ付かない程度に煮詰める。

2 蜂の幼虫
【方 言】はちの子
【調理法】捕獲した幼虫および(さなぎ)をそのまま鍋に入れ、いなごと同様に調理する。
【付 記】各種の蜂の子を食べる。

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